マルコ水産株式会社

マルコ水産のこばなし&雑学(豆知識)

学ぶ・知る話>>ヒスタミンとサバ科


えっ?マグロやカツオはサバの仲間?マルコ水産の鮪はサバ科解説

実はマグロとカツオは、サバ科に属しています!


マグロやカツオは、全世界で3万種ほどいる魚類の中のサバ科に属しています。そのサバ科はわずか57種といわれており、ごく少数グループですが海洋表層のほとんどの水域に生息しており,水産資源として非常に重要なんですね!

皆さんもご存知の方が多いと思いますが、サバは一部を除き、生食では食べられません。よくサバやカキといった生食モノで『あたった!(体調不良になった)』って聞いたことありませんか?それは何故か?サバはとても鮮度が落ちやすいため、食中毒の原因になってしまうからです。主な原因として、寄生虫とヒスタミンという物質が関係しているんです。(ちなみにカキはノロウィルスが原因です!)


マルコ水産のこばなし(ヒスタミン解説。生サバの食当たりはヒスタミンが一因です)ヒスタミンって?

ヒスタミンは、食中毒原因の1つ! サバとマグロ・カツオの中毒は一緒であることも!(ヒスタミン食中毒・寄生虫など)
ヒスタミンって何なの?っと、思われる方もいるかもしれません。ヒスタミンはアミノ酸の一種であるヒスチジンという物質が変化(腐敗)して作られる物質です。このヒスタミン、実はヒトの体内でも少し作られて存在しているんです。体内で合成し、内臓内で生理機能を担っている物質で、無くてはならない物質なんですね。
しかし、外部(喫食等、主に魚介類)から接種することで、体内にヒスタミンが多くなると血圧降下、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などを引き起こすことがあり、アレルギーに似た症状を発症することがあるんです。初期症状として、食べた後、舌がピリッと少し痺れたり、顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたりしたらすこし注意、呼吸困難や意識不明になったら重症です。

少し食べたくらいで死ぬことは無いのでご安心を!国内の過去10年以上死亡事故は起きていません。(ネギトロの場合は、ワサビの刺激や重曹(炭酸、品質保持目的)が入っている場合があり、混ざりきっていないと同じようにピリッとすることもあるかもしれませんが、違います。ごく稀に混同される方がいらっしゃるようですが、ご安心ください。) 特に気を付けたいのが、青魚(回遊魚、背が青い魚のこと)を食べたときに舌がピリッとしたらそうかもしれません。

この感覚は人によって様々で、感じ取れない方の方が多く、また、見た目や臭いでは見分けがつかないものなんです。魚を見極めるプロでも非常に難しい…。しかも、焼いても分解されません。故にマグロやカツオの加熱商材で食中毒が起きた!なんてニュースがあるのはヒスタミンによる食中毒であることが多いんです。


では何故青魚に多いか?1つは、青魚は長い間泳ぐ必要があるため、筋肉が発達しています。マルコ水産のこばなし(ヒスチジン(ヒスタミン)と青魚の関係性)
また、酸素を効率よく取り込むために、血液が多く必要になってきます。(血液が多いため赤身になります。)筋肉が多い青魚は筋組織中ヒスチジンという物質を多く持っています。このヒスチジンがヒスタミン中毒の原因物質であるため、他の魚よりヒスタミン中毒を引き起こしやすいんですね。

もう1つの原因は、海中にヒスタミンを生成する菌が存在し、漁獲時に表面や内部にいることが多い為。死んでしまった魚は筋肉中に存在するヒスチジンとヒスチジンをヒスタミンに変化させる酵素を出す生成菌が揃ってしまうことでヒスタミンが作られてしまうんですね。


マルコ水産のこばなし(ヒスタミン生成→ヒスタミン中毒=食中毒です。)ヒスタミンが生まれる原因

 ヒスタミンは、いろいろな過程で作られます。

上記でもお話しをしたヒスタミン、見た目や臭いでは全く判別が出来ないため、急いで処理することが必要になってきます。魚が傷むことで作られるヒスタミンはどういった場合が原因となるのでしょうか?主な原因は、大きく分けて2つ!鮪を例にどういった形でご家庭の元へお届けされているかを紐解いていきましょう。

鮪は世界中の漁場で漁獲されます。大きく分けて延縄(はえなわ)漁(1本の長い幹縄に多数の枝縄(これを延縄と呼びます)をつけ、枝縄の先端に釣り針をつけたもので行う漁法)と巻き網漁(魚群を見つけ、回りを逃げられないように網で取り囲んで網を徐々に狭めて魚を獲る漁法)と言われる漁獲方法が主流です。延縄漁では、海に垂らした縄を数日間仕掛け、掛かった鮪を捕獲するため、仕掛けた直後に掛かったマグロは死んでしまう可能性があります。引き揚げ(漁獲)に時間を要するため、死んでしまった鮪には、ヒスタミンが生成してしまう可能性があるのです。

一方、巻き網漁では1度に大量の鮪が捕獲されることがあり、網を取り囲んでいくことで鮪が泳げなくなり酸欠で死んでしまう鮪が現れます。大量に獲れる反面、全てを冷凍保管するまでに時間を要するために品質劣化してしまう鮪が出てくることがあります。どちらも1度にたくさんの鮪が獲れることがあるため、中には上記のような劣化してしまった個体がどうしても混じってくるわけです。

漁獲時には見た目で見分けることが極めて難しい、選別が不可能なことの方が多いんですね。昨今の漁では設備向上、漁獲の効率化もあり劣化した鮪は少なくはなってきているようですが、0にすることは難しいようです。ネギトロや切り落しが作られる原料の段階で含まれるリスクがあるようです。これが大きな要因の1つです。

では、どうやってそれらのリスクを低減していくのか?日々、何十トンと水揚げされる鮪を1匹ずつヒスタミン検査を行うことは、時間・コスト・労力的に現実的ではありません。漁獲ロット毎にランダムに抜き取り検査をすることはありますが、あくまで指標に過ぎないのが現状です。鮪は、身質、漁獲法、船の冷凍設備、海水温、漁期等によって鮮度にバラつきが生じます。生食用、加熱用、乾物用等々。

生食用として加工されるために、一定水準以上の品質の高いロットを購入するんですね。市場は、どの船が、どの漁場で、どんな種類をどのくらい獲ったか、また、漁獲されたもののサンプルがあり、身質、鮮度をチェックしてほしい品質グレードを入札していきます。こうすることでより品質の高いロットを購入していくことで鮮度の良いものを選りすぐって使用することが出来ます。当社は、直接市場で買い付けることで、自ら見極め、リスク回避を行っています。

原料として仕入れたマグロを加工場で製品にしていきます。仕入れた鮪は-50℃以下という超低温で保管されているため、劣化がおきないと言われております。この状態の鮪を短時間に処理することで、解凍することなく製品形態へと加工され、出荷されるため製造現場での劣化は極めて少ないと考えられております。また、ネギトロや切り落しに関しても温度管理を徹底することでヒスタミンの産生を抑えています。


こうして製造された製品は、業者様を通じて消費者様のお手元へお届けされるのですが、この過程で劣化が生じることがあります。例に挙げてみましょう。店舗型スーパー様にて店頭販売をされた場合、およそ4~10℃の冷蔵ショーケースにて販売されることが多いと思われます。販売後、すぐ購入される分には問題は無いでしょうが、売れ残るものもあるかもしれません。売れ残った消費期限間近の商品は長期間において低温下で保管されている可能性があります。

また、すぐに購入なされたお客様でもご家庭ですぐには食べない、冷蔵庫にしまい忘れた、しまいっぱなしにしてしまった…、なんてこともございませんか?上記のケースでは、冷蔵状態、又は常温状態が続いてしまった可能性があり、ヒスタミン産生菌が活動してしまったことで見た目は悪くないけど、劣化してしまった…なんていうことがあることがあります。

実はこのヒスタミン産生菌、冷蔵状態でも活動ができる菌であるため、冷蔵庫にしまっておけばOK!っということにはならないんですね。NGなんです。色が悪くなってきた、生臭い臭いがしてきたと認識できることであればよいのですが、ヒスタミンや菌は見えないため、見た目が良くても腐敗が進んでいることがある可能性もあることも頭の片隅にでも入れていただき、お早めに喫食されると良いと思います