マルコ水産株式会社

マルコ水産のこばなし(鰹の獲れる場所・世界地図)

獲る話>世界のカツオの分布図(漁場)

かつおはどこで獲れるの? ~かつお漁場図のはなし~

マルコ水産のこばなし(鰹の漁場図について)

世界中で獲られているカツオ。 漁獲場所や季節で味も食感もまるで違う!?


カツオはどこからくるの?? 皆さんが普段食卓で食べられているカツオは、一般的に拠点としている港から数日~数か月を費やし、近場の漁場からはるばる遠方まで獲りに行っています。日本では、主に日本近海、近海よりやや東の東沖と呼ばれている地域、赤道付近の南方地域が主であり、一部南半球のニュージーランド沖でも漁獲されることがあります。 カツオは、捕獲される緯度や時期により身質が大きく異なり、脂がのったトロカツオや脂質が少ないさっぱりとした味わいのカツオもおり、ちょうど赤身や大トロといった鮪の部位の違いのような様々な味わいを個々に楽しめる魚なんですね。 では、ここで世界地図に注目してみましょう。

マルコ水産が語る世界中で獲れるカツオは漁場(日本近海・東沖・南方・ニュージーランド沖など)や時期(春鰹・秋鰹(戻り鰹))によって味や食感、値段も全く違う

主な漁獲地域は色が付いている箇所で、赤道付近の暖かいところ(ピンク色)が一年を通して漁獲できる水域です。この地域で獲れるカツオは【南方】品とされており、暖かい海で育っているため、脂質が少なくさっぱりとした味わいのカツオが主な特徴です。また、南方カツオは遠洋漁業のため全て冷凍物であり、脂質も少ない為、比較的お求めやすいのも特徴になります。ツナ缶等の缶詰原料にも使用されています。

また、カツオは春頃(3月~5月)に北上し、秋頃(9月~11月)に南下します。春カツオはさっぱりとした味わいで、秋ガツオは脂質が蓄えられ、モチモチとした食感を味わえます。俗に『戻りガツオ』と呼ばれています。この春と秋のシーズンに日本近海を流れる海流に沿って移動します。この場所(水色)付近で漁獲されるカツオが【近海】品とされ、季節商材としてスーパーなどで売り出されるんですね。また、日本に近い地域が漁場の為、漁獲量次第では数日で寄港できることから冷凍カツオのみならず、生(冷蔵)カツオも漁獲されます。漁獲されてからの期間が短い為、品質も高いことが多く、一般的に南方よりブランド価値が高く、高級志向です。

日本近海よりやや東側に位置(緑色)する【東沖】品が、カツオの中でも最も脂がのり、カツオの中でも高級ブランドの位置付けになっています。近海と東沖は漁場が近い為、明確な区域分けはないですが、東沖地域で獲れた鰹の方が脂が乗っている傾向が高いようです。東沖の横には天皇海山群と呼ばれる海底火山群が存在します。他より水深が浅く平らな為、小魚が生息しやすく、それを食べる大型魚が集まってくることで、漁場として適した環境になっているようです。また、天皇海山群は、ホットスポット(火山活動地帯)でもあることから周辺より海水が温かく、それにより魚に取って活動がしやすく、またプランクトン等の餌も豊富で小魚から大型魚がそれぞれ生息しやすい生態系になっているのではないかと考えられています。

知名度は低いですが、ニュージーランド沖(黄色)でもカツオは漁獲されます。日本からでは一番遠い為、日本船はあまり獲りに行かず、日本での流通量は最も少ないです。身質は東沖に近く脂が乗っているものもあるようですが、食べている餌が違うようで、個体によっては赤身の色が濃いようです。他の地域で獲れるカツオの身質(色)より濃いことから、薄くカットすると見栄えがいい(色彩が鮮やか)ようですが、通常の厚みでカットするとやや薄暗い(濃い)色になってしまうようで、人によっては色が悪いと判断されてしまう…こともあるようです。

注釈:天皇海山群とは、北端はロシアのカムチャッカ半島の根元より北西太平洋に連なる天皇海山群、ハワイ海嶺の北西部に存在する海山まで連なり、点在する海山群の総称をいいます。海山の頂上は300~2,000mの水深帯に位置しており、水深が300~500mで、頂上が平らであるという特徴があることから漁場が形成されているようです。海山には明治、天智、神武、推古、昭和、仁徳、桓武などの歴代の天皇及び一部皇后の名前が付いており、また、全く関係のない名前の海山もあります。これらの名前は日本人が命名したわけでなく、米国の研究者が命名しています。